PMOとは
PMOの役割、業務内容、PMとの違い、導入メリット、導入方法などを解説。
PMOとは
PMOは「Project Management Office(プロジェクト・マネジメント・オフィス)」の略で、企業内でプロジェクトを円滑に進めるために、プロジェクトマネジメントを支援または統括する部門や体制を指します。
PMOは、組織内の各プロジェクトを横断的に支援し、プロジェクトの成功に向けたガイドラインの策定、プロセスの標準化、リソースの最適化、教育など、プロジェクトマネジメントに必要な様々な支援を行います。また、プロジェクトマネージャー(PM)と密接に連携し、プロジェクトの進行状況を監視・サポートする役割も担います。さらに、PMOは企業の戦略目標とプロジェクトが一致するよう調整し、リスク管理やベストプラクティスの共有を通じて、プロジェクトの成果を最大化することに貢献します。
このように、PMOは企業全体のプロジェクト成功率を向上させる重要な役割を果たしています。
※企業によっては、PMOを「Program Management Office(プログラム・マネジメント・オフィス)」や「Portfolio Management Office(ポートフォリオ・マネジメント・オフィス)」と呼ぶこともあります。プログラムとは、複数の関連するプロジェクトや定常業務の集合体であり、これらのマネジメントを支援するのが「Program Management Office(プログラム・マネジメント・オフィス)」です。また、ポートフォリオとは、組織全体の戦略目標に沿って管理されるプロジェクトやプログラム、定常業務の集合体であり、これらのマネジメントを支援するのが「Portfolio Management Office(ポートフォリオ・マネジメント・オフィス)」です。
PMOとPMの違い
PMOとPM(プロジェクトマネジャー)の立場、役割、業務内容はしばしば混同されてしまうことがあります。これらの違いを理解し、適切に運用することがプロジェクトの成功やビジネスの推進につながります。
そのためには、PMOとPMの概念や定義を正しく理解しておくことが必要です。
日本規格(国際規格)である「JIS Q 21500:2018(ISO 21500:2012)」では、PMOとPMについて以下のように定義しています。
<プロジェクトマネジャーに関する記述>
”プロジェクトマネージャは,プロジェクトの活動を指揮し,マネジメントして,プロジェクトの完了に説明義務を負う。”(出典:JIS Q 21500:2018(ISO 21500:2012))
<PMOに関する記述>
”プロジェクトマネジメントオフィスは,ガバナンス,標準化,プロジェクトマネジメントの教育訓練,プロジェクトの計画及びプロジェクトの監視を含む多彩な活動を遂行することがある。”(出典:JIS Q 21500:2018(ISO 21500:2012))
また、一般社団法人日本PMO協会が公開しているPMOとPMの違いについての記述は以下の通りです。
”プロジェクトマネジャーは「プロジェクト」のために活動する役割です。一方で、PMOは基本として「プロジェクトマネジメント」のために活動する役割です。つまり、プロジェクトマネジャーは「プロジェクト」の成功のために「プロジェクトマネジメント」をするのですが、この「プロジェクトマネジメント」に対して活動するのがPMOです。”(出典:一般社団法人日本PMO協会)
上記の記述をもとに話を単純化すると、「プロジェクトマネジャー(PM)」はプロジェクトの成功のために活動する役割です。つまり、プロジェクトマネジャーは「プロジェクトのため」に活動します。そして、プロジェクトマネジャーがプロジェクトの成功のために管理・統制する方法論やフレームワークが「プロジェクトマネジメント」です。この管理・統制を行う「プロジェクトマネジメント」のために活動する役割が「PMO」ということです。
PMOの役割
一般社団法人日本PMO協会では、PMOの一般的な主な役割を以下のように明示しています。
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プロジェクトマネジメント方式の標準化
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プロジェクトマネジメントに関する研修など人材開発
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プロジェクトマネジメント業務の支援
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プロジェクト間のリソースやコストの各種調整
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個別企業に適応したプロジェクト環境の整備
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その他付随するプロジェクト関連管理業務
(出典:一般社団法人日本PMO協会)
また、各PMOの職種における役割を以下のように明示しています。
●PMOアドミニストレータ(PMO事務)
プロジェクトに関連する社内プロセスを円滑に進める役割です。
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プロジェクトデータ収集・更新
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プロジェクト情報共有・展開・リマインド
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会議体コーディネーション
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書類作成・管理サポート
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経費処理
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プロジェクトメンバー勤怠・稼動管理
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および付帯する業務
●PMOエキスパート
プロジェクト環境・ルールの策定・改善および標準化をする役割です。
<プロセス分析>
プロジェクトの各種プロセスの策定・改善および標準化
社内プロセス文書化
社内プロセス教育および社内定着化
および付帯する業務
<情報分析>
プロジェクトにおける各種決裁に必要な情報定義策定・改善および標準化
情報収集手法の確立および社内定着化
情報化手法の確立および社内定着化
プロジェクトパフォーマンス情報の可視化
および付帯する業務
<ツール分析>
社内プロジェクトツール類の開発・改善および標準化
社内プロジェクトツール類の教育および社内定着化
および付帯する業務
<ビジネス分析>
プロジェクト利害関係者との連携を通じた要求事項・ニーズの収集
プロジェクト利害関係者の要求事項・ニーズのプロジェクト組織、プロセス、ツールへの反映
プロジェクト利害関係者の満足度向上および維持
および付帯する業務
<人材開発>
プロジェクトマネジメント教育および社内定着化
プロジェクト関連業務従事者へのメンタリングおよびサポート
および付帯する業務
●PMOマネジャー
PMOを管理するマネジメント業務全般をする役割です。
<一般的な業務内容例>
PMO組織戦略および計画の策定
PMOメンバーの勤怠・稼動管理
PMOメンバーの教育
PMO組織予算管理
プロジェクト環境・ルールの維持・管理・定着化全般
プロジェクトパフォーマンスの安定化
プロジェクト投資判断およびプロジェクトの継続判断等
および付帯する業務
(出典:一般社団法人日本PMO協会)
また、昨今の欧米におけるPMOは、経営の文脈で語られることが増えてきました。個々のプロジェクトの支援にとどまらず、企業全体のプロジェクトマネジメントをどうあるべきかという戦略的なプロジェクトガイドラインの策定や、プロジェクトの投資委員会またはプロジェクト運営委員会として、それぞれのプロジェクトに対する経営資源の配分を決定する意思決定支援、さらにはプロジェクトの進捗や出来高に基づくプロジェクトの継続・停止判断の支援を担う場合もあります。
上記を見ると、PMOの活動範囲は広く、具体的に何をすれば良いのか、またどのような作業を行うべきなのかが分かりにくいかもしれません。しかし、これには理由があります。
プロジェクトマネジメントでは、プロジェクトの成功のためにさまざまなプロセス、知識、ツールや技法を活用します。
たとえば、予測型(ウォーターフォール型)では、その開発手法において、プロジェクトマネジメントとして立上げ、計画、実行、監視・コントロール、終結というプロセス群があり、そのプロセス群においてさまざまなマネジメント手法(統合マネジメント、スコープ・マネジメント、スケジュール・マネジメント、コスト・マネジメント、品質マネジメント、リソース・マネジメント、コミュニケーション・マネジメント、リスク・マネジメント、調達マネジメント、ステークホルダー・マネジメント)を用います。 適応型(アジャイル型)では、スクラムなどの開発手法があり、プロダクトバックログ、スプリント計画、スプリントバックログ、デイリースクラム、スプリントレビュー、レトロスペクティブなどの一連のプロセスやツールや技法を用います。
既述の通り、PMOは「プロジェクトマネジメントのために活動」します。したがって、プロジェクトマネジメントのあらゆるプロセス、知識、ツールや技法に関与する「可能性」があるのです。
また、PMOはプロジェクトマネジメントのために活動する「部門や体制」であることも述べました。PMOの部門や体制のマネジメント自体もPMOの活動範囲となるのです。
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PMOとして必要な知識・技術・能力
●プロジェクトマネジメントの知識
PMOにはさまざまな職種や活動内容があることを記載しましたが、どのPMOの職種や活動を担う場合でも、「プロジェクトマネジメントの基礎知識」は不可欠です。
プロジェクトとは何か、プロジェクトマネジメントとは何か、プロジェクトがどのようなプロセスで運営されているのか、プロジェクトマネジメントのツールや技法にはどのようなものがあるのかといった基礎的な知識がなければ、PMOが果たすべきプロジェクトマネジメント支援の役割を担うことができなくなります。
また、プロジェクトマネジメントにおいては、国際的に共通の概念や専門用語が使用されます。これらを理解していないと、円滑な業務活動が難しくなる可能性もあります。
●プロジェクトマネジメントの経験
PMOエキスパート以上の職種で活動する場合、プロジェクトマネジメントの経験が必要になります。
例えば、組織のプロジェクトリスクを軽減するために、全社共通のリスクマネジメントガイドラインとツールを策定しようとしたとします。しかし、プロジェクトの経験がない場合、現場視点に立った有効なガイドラインやツールを策定するのは難しいでしょう。
やはり、実際の経験と、その経験を通じた新たな学びからこそ、こうした活動が可能になるのです。
●ソフトスキルやインターパーソナルスキル(人間力)
PMOにおいても、PMと同様に、ソフトスキルやインターパーソナルスキルといった人間力が求められます。
たとえば、プロジェクトマネジメントにおけるPMの活動では、コミュニケーション能力が重要であることは明らかです。
クライアントやサプライヤーとの交渉、メンバーのモチベーション管理、円滑な会議の進行や報告、各種情報の取得には、コミュニケーション能力が不可欠です。
コミュニケーション能力は一例にすぎませんが、その他にも、チームワーク、問題解決能力、提案力、人間関係構築力、共感力、リーダーシップといった人間力が求められます。
PMOはこれらのプロジェクトマネジメント支援やPM支援を行うことも多いため、同様にこれらの能力が重要になります。
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PMとPMO、どっちが偉い?
PM(プロジェクトマネジャー)とPMO(プロジェクトマネジメントオフィス)の関係は企業によって異なり、上下関係も一概には決まりません。
PMOは企業のプロジェクト課題に応じた役割を果たす組織であり、その位置づけや業務内容は企業ごとに戦略的に設定されています。
例えば、ある企業ではプロジェクト全体の管理を行うためにPMOが経営側に位置する一方、他の企業では現場でPMを支援する役割を担っています。
このようにPMOの役割には重要な違いがあり、「役職」権限の上下ではなく「役割」としての意義を理解することが求められます。
例えば、プロジェクトの危機対応時には、プロジェクトマネジャーである自分の「役職」権限よりも上位者がPMOの「役割」としてプロジェクト現場に関与し、プロジェクトを円滑に進めるために指導や支援を行うこともあります。
また、プロジェクトマネジャーである自分の「役職」権限よりも下位の者が、PMOとしてプロジェクトガバナンスを担うこともあります。
現代のビジネスでは、組織が「役職」権限だけで成り立つわけではなく、様々な「役割」が組織運営において重要な要素となっています。
プロジェクト現場でも、発注者・受注者や外部・内部ステークホルダーなど、多くの関係者が「ひとつのチーム(One Team)」として協力し合うことが必要です。
こうした状況でプロジェクトマネジャーは、役割の異なるメンバーと共に目標達成を目指し、相互尊重が欠かせません。
PMとPMOの関係も同様で、単なる「役職」の上下関係ではなく、それぞれの「役割」を理解し合い、互いに協力してプロジェクト成功を目指すことが重要です。
PMOの導入方法
既述の通り、PMO活動の範囲は非常に広く、PMOをどのように導入すべきかお困りの企業様が多いのも事実です。
しかし、PMOが何のために存在しているのか、どのような役割を持っているのかを改めて見直していただくと、直感的に導入の方法が見えてくるはずです。
PMOは「プロジェクトマネジメントのために活動する」と記載しました。それでは、なぜプロジェクトマネジメントのために活動する必要があるのでしょうか。または、なぜそのような役割が必要なのでしょうか。
それは、「プロジェクトマネジメントに問題や課題がある」からこそPMOが必要とされるのです。
さらに考えると、貴社や皆様の組織における「プロジェクトマネジメントの問題や課題」とは何でしょうか。スケジュール遅延、コストオーバー、ステークホルダーとのコンフリクト、メンバーの教育など、さまざまな課題が思い浮かぶのではないでしょうか。
ここで重要な観点として、この「プロジェクトマネジメントの問題や課題」は、企業や組織によって異なるという点があります。
ある企業ではスコープマネジメントに課題がある一方で、別の企業ではスコープマネジメントに問題はなく、プロジェクトメンバーのリソースマネジメントに問題があることもあります。
さらに、このプロジェクトマネジメントの問題や課題は、組織が受注側か発注側かによっても異なります。
このような状況の中で最も重要なPMO導入方法は、「プロジェクトマネジメントの問題・課題の中で最も優先度の高いところからPMOを導入する」ということです。
例えば、スケジュール遅延が絶えないというプロジェクトマネジメントの問題がある組織では、それが最優先で解決すべき課題であれば、PMOはスケジュールマネジメントに関与し、その問題を解決するために、ガントチャートなどのツール整備や進捗管理を開始することになります。
PMOの職務範囲は固定的ではなく、企業のニーズに応じて柔軟に対応することが求められます。
この点は、一般的な会社の役割や部門・部署に例えると分かりやすいでしょう。例えば、会社には総務、法務、経理などの部門があります。法務部門は、組織の法律関連の業務全般を担当する部署ですが、その具体的な活動内容や範囲は、各企業の事業内容や状況によって異なります。
このように、PMOとは何のために存在し、その基本的な役割とは何かを理解した上で、具体的な業務内容を個々の企業に合わせ、優先度の高いものから導入することが重要です。
キーワードは自らの組織に合わせた「Small Start(小さく始める)」です。
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PMOの発展
既述の通り、PMOは自社のプロジェクトマネジメントにおける問題や課題の中で、優先度の高いものから解決を図り、その活動を開始することが望ましいです。
では、その組織におけるPMOの発展や高度化は、どのように進めていけばよいのでしょうか。
プロジェクトマネジメントの特定の問題を解決しても、次の問題や課題が必ず発生するものです。
例えば、スケジュール遅延の防止が最優先の課題であり、スケジュールマネジメントのツールや技法を導入してその導入が適切だったとしても、スケジュール遅延が完全には解消されないことがあります。逆に、スケジュール遅延は解消されたものの、新たにコストや品質の問題が発生する場合もあります。
スケジュールマネジメントのツールや技法を適切に導入しても、スケジュール遅延が完全には解消されない場合、スケジュールマネジメントだけではなく、関連するスコープマネジメントや変更管理を高度化する必要があることもあります。例えば、合理的ではない作業範囲の変更や、その変更管理が徹底されていないことが、最終的にスケジュールに悪影響を与えることが考えられます。
また、スケジュールマネジメントのツールや技法を導入したことで、コストや品質に問題が発生することや、スケジュール遅延を解決した後に、次の優先度の高い課題としてコストや品質の問題に取り組む必要があることもあります。
このように、PMOは自社や組織のプロジェクトマネジメントにおける問題や課題を常にリサーチし、優先順位を決めて段階的にその役割を拡張し、さらに高度化していくことが重要です。これがPMOの発展につながります。
PMOの組織形態
PMOは自社のプロジェクトマネジメントにおける問題や課題の中で、優先度の高いものから解決を図り、その活動を開始することが望ましいと述べましたが、その企業として解決すべきプロジェクトマネジメントの問題に有効な組織体系を考えることも大切です。
●全社型PMO
上記の図の中で、プロジェクト管理部門の直下にあるPMO(A~Dのプロジェクトの上層部にあるPMO)が全社型PMO形態と言われています。これは企業や組織内のすべてのプロジェクトを一元的に支援する形態です。
例えば、全社共通のプロジェクトガイドラインやツールを開発したい場合、組織内の全プロジェクトのガバナンスを徹底したい場合、各プロジェクトに対するリソース配分を円滑に行いたい場合など、全社型PMOの形態で支援する方が利便性が高いと言えます。
なお、全社型PMOは「EPMO:Enterprise PMO(エンタープライズPMO)」と呼ばれることもあります。
●プロジェクト事務局型PMO
上記の図の中で、各プロジェクトに配置されているPMOが、プロジェクト事務局型PMO形態と言われています。これは、かつてのPO(Project Office)とも似ており、その発展形と考えられます。個々のプロジェクトに対してPMOが支援を行う形態です。
例えば、企業や組織のそれぞれのプロジェクトがユニークであり、それぞれのプロジェクトにカスタマイズされた支援が必要な場合や、特定のプロジェクトにおいてトラブルが発生しており、その支援が必要な場合など、柔軟でプロジェクトごとの問題に対応した支援を行うには、プロジェクト事務局型PMOの形態が利便性が高いと言えます。
●ハイブリッド型PMO
ハイブリッド型PMOは、全社型PMOとプロジェクト事務局型PMOを併設し、それぞれの利点を生かして全社共通の問題に取り組みつつ、プロジェクト個別の問題解決も行う形態です。
ある程度の規模があり、プロジェクト数が多い組織で採用される形態です。
ハイブリッド型PMOの場合、全社型PMOとプロジェクト事務局型PMOの「連携」が重要となります。
例えば、全社的施策を全社型PMOがいち早くプロジェクトに導入する際に、事務局型PMOのメンバーが連携し、円滑な導入を支援します。
逆に、事務局型PMOのメンバーが各プロジェクトの問題や課題、各種数値データを全社型PMOに連携することで、全社型PMOは組織全体として必要な施策を策定することができます。
プロジェクト訴訟・係争・裁判時のPMOの価値
プロジェクトでは、発注者と受注者の間で裁判などの係争やトラブルに発展することがあります。例えば、QCD(品質、コスト、納期)に関する問題や、外部環境・内部環境の変化による変更要求などが原因で、成果物が完成しなかった場合などが典型的です。昨今、ニュースやメディアでも、IT関連のプロジェクトにおいて巨額な損害賠償を求める民事訴訟が増えていることが報じられています。
これらの係争時に、裁判官が過去の判例を基に注目するポイントのひとつとして、「プロジェクトマネジメント義務」と「協力義務」があります。
プロジェクトマネジメント義務は、受注者側(ベンダー側)に求められるものです。簡単に言えば、受注者側は発注者側(ユーザー側)と合意された成果物の完成を目指して実作業を進めるだけでなく、進捗管理やプロジェクトの進行を阻害する要因を発見し、適切な対策を講じること、さらには発注者側とのコミュニケーションを積極的に行い、必要な協力を求めることが求められます。つまり、受注者側の義務として「プロジェクトマネジメント」が求められているのです。
協力義務は、発注者側に求められるものです。プロジェクトは常に不確実性が伴うため、受注者に「丸投げ」するのではなく、その成果物を利活用する当事者として、受注者に積極的に協力し、協働でプロジェクトを進めることが求められます。これもまた、「プロジェクトマネジメント」におけるステークホルダーマネジメント、調達マネジメント、リスクマネジメント、コミュニケーションマネジメントなどに関連するものであり、また、監視コントロールのプロセス群とも密接に関わる部分です。
このように、係争時にはプロジェクトマネジメントの状況や状態がどうたったのかが注視されます。このことを考慮しても、PMOが担う「プロジェクトマネジメント支援」が企業全体の戦略的リスクマネジメントにおいていかに重要かご理解いただけるのではないでしょうか。
シェアードリーダーシップとPMO
当社はプロジェクトマネジメントの専門会社として、PMまたはPMOの専門家が440社以上、約1440件以上のプロジェクトを支援してきました。その中で、近年話題となっている「シェアードリーダーシップ」の文脈で当社サービスをご活用いただく企業様が増えています。
シェアードリーダーシップとは、簡単に言えば、組織のメンバーそれぞれがリーダーシップを発揮し、リーダーの役割を共有する状態やリーダーシップスタイルを指します。
これまで、主に選抜された優秀で強力なPMがプロジェクトを牽引してきました。しかし、昨今のプロジェクトの性質は変わってきています。テクノロジーの急速な進化や、戦略的なプロジェクトベースの事業運営によるプロジェクト数の増加などにより、プロジェクトの不確実性が高まり、さらにプロジェクトの数も増えています。
このような状況下では、いくら優秀なPMであっても、不確実性が増すプロジェクトに単独で対応するのは困難になりはじめており、増加するプロジェクトに対しても人数的に対応しきれません。
そこで、PMOがプロジェクトマネジメントの一部を支援し、PMと二人三脚で伴走することで、プロジェクトのリーダーシップをシェア(共有)し、より複雑なプロジェクトや増加するプロジェクト数に対応することが可能になります。
これも、PMO導入の重要なメリットのひとつです。
日本プロジェクトソリューションズのプロジェクト支援
日本プロジェクトソリューションズ株式会社は、プロジェクトマネジメントの専門会社、プロジェクトマネジメントのトータルソリューションカンパニーとして、様々なサービスラインアップでお客様のプロジェクトをご支援しています。
プロジェクト実行支援(PMO支援)
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貴社のプロジェクト課題やご要望に合わせ、企業内でのオンサイト支援、オンラインによる遠隔支援など柔軟に対応いたします。また、契約形態についても、派遣契約、業務委託など、プロジェクトの形態や貴社のご要望に応じて対応可能です。
当社では、プロジェクトマネジメントまたはPMOの有資格者・有識者がご支援を行います。
以下のようなケースでご活用いただいているサービスです。
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プロジェクトでトラブルが発生し、至急プロジェクト支援が必要
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プロジェクトを受注したが、プロジェクトマネジャーが不足している
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PMOの体制づくりをPMOの専門会社とともに進めたい
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プロジェクトマネジメント関連企業研修
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以下のようなケースで、貴社社員によるプロジェクトマネジメントやPMOの高度化を目指す際にご活用いただいているサービスです。
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プロジェクトに必要な人的リソースは揃っており、そのリソースを最大限に活用したい
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自社社員でプロジェクトを運営しているが、運営上のトラブルを教育で解決したい
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自社独自のプロジェクト運営に不安があり、スタンダードな手法を学ばせたい
なお、当社は米国PMI(Project Management Institute)の公式認定教育プロバイダー(ATP)です。
ぜひ、以下の専用WEBページをご覧いただけますと幸いです。
●ソフトスキル・インターパーソナルスキル(人間力)に関する研修は<こちら>