【2026年7月】PMP®試験大幅改訂:主要な変更点を徹底解説



2026年7月~
PMP®試験内容変更
2026年7月からPMP試験のECOが大幅改訂され、ドメイン比率の変更、Business Environment領域の強化、アジャイル・ハイブリッドの適用判断重視など、実務力評価型の内容へ進化します。また、試験問題数は185問、試験時間は240分へ拡大し、出題型式や休憩時間などの変更もあります。新ECOに対応した学習戦略の見直しが合格の鍵となります。
※今後最新情報が入り次第、本WEBページを適宜アップデートし、皆様に最新の情報をお届けいたします。
プロジェクトマネジメントの国際資格であるPMP®試験について、PMIは新しい「Exam Content Outline(ECO)」を公表しました。これに伴い、PMP®試験の内容は2026年7月から変更される予定です(※詳細な変更日は現時点では未発表)。
今回の改訂は、出題範囲・比率だけでなく、試験問題数や試験時間まで見直される、大幅なアップデートとなります。
本記事では、現行ECO(2021年版)との主な変更点、最新の出題傾向、そして合格に向けた具体的な対策ポイントについて、専門的かつ分かりやすく解説します。
新ECO要点まとめ動画
2026年7月から始まるPMP新試験および新ECOについて、AIによる要点まとめ動画を作成しています。
まずはポイントだけを確認したい方は、ぜひ動画をご覧ください。
なぜECOは更新されたのか?
ECOとは「Exam Content Outline」のことで、試験範囲・出題比率・必要スキルをまとめた「試験内容の概要」です。PMP®試験は、このECOの内容を基準として出題されます。
今回、PMIはこのECOを改訂し、その内容に準じたPMP®試験を2026年7月から実施すると発表しました。
PMIは定期的に「職務分析(Job Task Analysis)」を行い、最新のプロジェクトマネジメント実務をPMP®試験へ反映させています。今回のECO改訂の背景には、特に以下の実務変化があります。
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アジャイル・ハイブリッド型の普及
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価値ベースのデリバリー(Value-based Delivery)
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サステナビリティ(環境・社会・経済)
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組織戦略(ビジネスアライメント)の重要性増大
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ガバナンス・コンプライアンス
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AI・デジタル変革
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外部環境変化への迅速な対応
今回の改訂は、これまで以上に「知識を覚える試験」から「状況に応じて正しく判断する試験」へ進化することが、本質的なポイントと言えます。
主要な変更点まとめ(2021ECO → 2026ECO)
1. ドメイン配分が大幅に変更
現ECO(2021版)
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People:42%
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Process:50%
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Business Environment:8%
新ECO(2026版)
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People:33%
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Process:41%
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Business Environment:26%
特に「Business Environment」が 8% → 26% へ大幅に増加しています。
サステナビリティ、ガバナンス、ベネフィット管理など、「プロジェクトが生み出す価値」を重視する流れが強まっていることが背景にあると考えられます。
2. アプローチ割合の変更
現ECO(2021版)
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予測型アプローチ:50%
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アジャイルとハイブリッドアプローチ:50%
新ECO(2026版)
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予測型アプローチ:約40%
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アジャイルとハイブリッドアプローチ:約60%
市場環境の変化により、アジャイルおよびハイブリッドアプローチの出題比率が増加しています。
3. 試験問題数・試験時間が変更
現ECO(2021版)
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試験問題数:180問(内:プレテスト5問)
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試験時間:230分
新ECO(2026版)
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試験問題数:185問(内:プレテスト10問)
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試験時間:240分
試験時間は 10分延長 されました。
また、問題数は5問増えていますが、増加分はすべてプレテストであるため、実質的な採点対象問題数は変わっていません。
※プレテストとは、将来の試験問題の妥当性を検証するための非採点問題です。採点には影響しませんが、PMIが今後の試験問題を作成する際のデータ収集目的で含まれています。
4. 試験中の休憩時間の変更
現ECO(2021版)
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試験中に10分間の休憩が2回設けられています。
1回目の休憩は設問1~60を完了し、全ての回答を確認した後に取ることができます。
2回目の休憩は設問120を完了し、全ての回答を確認した後に取ることができます。
新ECO(2026版)
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試験中に5分間の休憩が2回設けられています。
1回目の休憩はケーススタディのセクション終了後に取ることができます。
2回目の休憩は、独立した問題部分のおよそ中間点で取ることができます。
休憩時間は短縮されているため、試験中の休憩タイミングをどう活用するかがより重要になります。模擬試験などを通じて、事前の時間管理やシミュレーションを行っておくことが大切です。
5. 出題範囲の変更内容
ECOに記載されている「DOMAINS(ドメイン)・TASKS(タスク)・ENABLERS(イネーブラー)」が、2026年7月以降のPMP®試験の出題範囲となります。
本セクションを記述している 2025年11月14日現在、日本語版の新ECO(2026年版)はまだ公表されていません。
そのため、本記事では当社の知見をもとに独自の日本語訳を作成し、以下に掲載します。
ドメインⅠ:人(Domain I: PEOPLE)(33%)
Task 1 – 共通ビジョンを策定する(Develop a common vision)
Enablers(実例):
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主要なステークホルダーと共有されたビジョンを確実に持てるよう支援する。
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その共有ビジョンを推進する。
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ビジョンを常に最新の状態に保つ。
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ビジョンの誤解が生じている場合、その根本原因を特定するために状況を分解して分析する。
Task 2 – コンフリクトをマネジメントする(Manage conflicts)
Enablers:
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コンフリクトの原因を特定する。
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コンフリクトが起きている背景・状況を分析する。
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合意された解決策を実行する。
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チームや外部ステークホルダーに対して、コンフリクト管理の原則を周知する。
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共通のルールを守れる環境を整える。
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ルール違反があった場合はそれを管理し、是正する。
Task 3 – プロジェクトチームをリードする(Lead the project team)
Enablers:
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チームレベルでの期待値を設定する。
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チームをエンパワーする(権限を委譲し主体性を引き出す)。
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問題を解決する。
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チームの意見や声を代表する。
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チームメンバーの多様な経験・スキル・視点を支援する。
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適切なリーダーシップスタイルを選択する。
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チーム内で明確な役割と責任を設定する。
Task 4 – ステークホルダーを巻き込む(Engage stakeholders)
Enablers:
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ステークホルダーを特定する。
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ステークホルダーを分析する。
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ステークホルダーのニーズに合わせてコミュニケーションを分析・調整する。
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ステークホルダーエンゲージメント計画を実行する。
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ステークホルダーのニーズ・期待・プロジェクト目標の整合性を最適化する。
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信頼を構築し、ステークホルダーに影響を与えてプロジェクト目標の達成につなげる。
Task 5 – ステークホルダーの期待を整合させる(Align stakeholder expectations)
Enablers:
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ステークホルダーを分類する。
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ステークホルダーの期待を特定する。
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期待値を揃えるための議論を促進する。
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メンタリングの機会を整理し、実行する。
Task 6 – ステークホルダーの期待をマネジメントする(Manage stakeholder expectations)
Enablers:
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内部および外部の顧客の期待を特定する。
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内部・外部顧客の期待に成果を合わせ、維持する。
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内部・外部顧客の満足度や期待をモニタリングし、必要に応じて対応する。
Task 7 – 知識移転を確実にするために支援する(Help ensure knowledge transfer)
Enablers:
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プロジェクトにとって重要となる知識を特定する。
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知識を収集する。
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知識移転を促進できる環境を整える。
Task 8 – コミュニケーションを計画し管理する(Plan and manage communication)
Enablers:
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コミュニケーション戦略を定義する。
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透明性とコラボレーションを促進する。
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フィードバックループを確立する。
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報告(レポーティング)の要件を理解する。
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スポンサーやステークホルダーの期待に沿った報告書を作成する。
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報告およびガバナンスプロセスを支援する。
ドメインⅡ:プロセス(Domain II: PROCESS)(41%)
Task 1 – 統合的なプロジェクト計画を策定し、デリバリーを計画する(Develop an integrated project management plan and plan delivery)
Enablers(実例):
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プロジェクトのニーズ、複雑性、規模を評価する。
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適切なプロジェクトマネジメントのアプローチ(予測型、アダプティブ/アジャイル、ハイブリッド)を推奨する。
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必要となる重要情報(例:サステナビリティ関連)を特定する。
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プロジェクト実行戦略を提案する。
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統合プロジェクトマネジメント計画書を作成する。
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作業工数とリソースの必要量を見積もる。
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統合されたプロジェクト計画を評価し、依存関係、抜け漏れ、継続的なビジネス価値を確認する。
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統合プロジェクトマネジメント計画書を維持する。
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データを収集・分析し、プロジェクトに関する意思決定を行う。
Task 2 – プロジェクトスコープを策定し管理する(Develop and manage project scope)
Enablers:
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スコープを定義する。
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ステークホルダーからスコープの合意を得る。
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スコープを細分化する。
Task 3 – 価値ベースのデリバリーを確実にする(Help ensure value-based delivery)
Enablers:
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キーステークホルダーとともに価値要素を特定する。
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価値およびステークホルダーからのフィードバックに基づいて優先順位を決定する。
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価値を段階的に提供する機会を評価する。
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プロジェクト全体を通してビジネス価値を検証する。
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ベネフィットを追跡するための測定システムが確立されていることを確認する。
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価値を示すためのデリバリーオプションを評価する。
Task 4 – リソースを計画し管理する(Plan and manage resources)
Enablers:
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要件に基づいてリソースを定義し、計画する。
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リソースのニーズと利用可能性を管理・最適化する。
Task 5 – 調達を計画し管理する(Plan and manage procurement)
Enablers:
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調達を計画する。
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調達マネジメント計画を実行する。
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適切な契約タイプを選定する。
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ベンダーのパフォーマンスを評価する。
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調達契約の目的が達成されているか検証する。
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契約交渉に参加する。
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交渉戦略を策定する。
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サプライヤーおよび契約を管理する。
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調達戦略を計画・管理する。
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デリバリーソリューションを開発する。
Task 6 – 財務を計画し管理する(Plan and manage finance)
Enablers:
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プロジェクトに必要な財務要件を分析する。
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リスクおよび予備費(コンティンジェンシー)の金額を算出する。
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プロジェクトライフサイクル全体を通じた支出追跡を計画する。
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財務報告の計画を立てる。
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将来起こりうる財務上の課題を予測する。
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財務上の変動を監視し、ガバナンスプロセスと連携して対処する。
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予備財源(リザーブ)を管理する。
Task 7 – 成果物/プロダクトの品質を計画し最適化する(Plan and optimize quality of products/deliverables)
Enablers:
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プロジェクト成果物に関する品質要件を収集する。
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品質プロセスとツールを計画する。
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品質マネジメント計画を実行する。
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規制遵守が確保されていることを支援する。
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品質コスト(CoQ)およびサステナビリティを管理する。
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継続的な品質レビューを実施する。
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継続的改善を実施する。
Task 8 – スケジュールを計画し管理する(Plan and manage schedule)
Enablers:
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選択した開発アプローチに基づいてスケジュールを作成する。
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他プロジェクトや運用部門と調整する。
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プロジェクトタスク(マイルストーン、依存関係、ストーリーポイントなど)を見積もる。
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ベンチマークや過去データを活用する。
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プロジェクトスケジュールを作成する。
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プロジェクトスケジュールのベースラインを設定する。
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スケジュールマネジメント計画を実行する。
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スケジュールの乖離を分析する。
Task 9 – プロジェクト状況を評価する(Evaluate project status)
Enablers:
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プロジェクトの指標(メトリクス)、分析、整合を策定する。
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必要なプロジェクト文書類(アーティファクト:作成物・管理資料・記録類)を特定し、適切に調整する。
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プロジェクト文書類が作成・レビュー・更新・文書化されるように支援する。
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プロジェクト文書類へアクセスしやすい状態を確保する。
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現在の進捗を評価する。
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プロジェクト指標を測定・分析・更新する。
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プロジェクトの状況を伝達する。
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プロジェクト文書類管理の有効性を継続的に評価する。
Task 10 – プロジェクトの終結を管理する(Manage project closure)
Enablers:
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プロジェクト完了についてステークホルダーの承認を得る。
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プロジェクトまたはフェーズを正常に完了するための基準を決定する。
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移行準備が整っているか確認する(例:運用チームや次フェーズへの引き継ぎ)。
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プロジェクトまたはフェーズを終了するための活動を完了する
(例:最終的な教訓の整理、レトロスペクティブ、調達・財務の精算、リソースの解放など)。
ドメインⅢ:ビジネス環境(Domain III: BUSINESS ENVIRONMENT)(26%)
Task 1 – プロジェクト・ガバナンスを定義し確立する(Define and establish project governance)
Enablers:
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組織のプロセス資産(OPA)を活用し、構造・ルール・手続き・報告・倫理・各種ポリシーを記述し、確立する。
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成功指標(サクセスメトリクス)を定義する。
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ガバナンス上のエスカレーション経路と閾値を明確にする。
Task 2 – コンプライアンスを計画し管理する(Plan and manage project compliance)
Enablers:
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プロジェクトのコンプライアンス要件(例:セキュリティ、健康・安全、サステナビリティ、規制遵守)を確認する。
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コンプライアンス項目を分類する。
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コンプライアンスを脅かす可能性のある要因を特定する。
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コンプライアンスを支援するための手法を活用する。
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コンプライアンス違反が発生した場合の影響を分析する。
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コンプライアンス対応に必要なアプローチや行動を決定する。
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プロジェクトがどの程度コンプライアンスを満たしているか測定する。
Task 3 – 変更を管理・統制する(Manage and control changes)
Enablers:
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変更管理プロセスを実行する。
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提案された変更の状況を共有する。
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承認された変更をプロジェクトに実装する。
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変更内容を反映してプロジェクト文書を更新する。
Task 4 – 障害を除去し課題を管理する(Remove impediments and manage issues)
Enablers:
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阻害要因の影響を評価する。
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阻害要因の優先順位を決め、可視化する。
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阻害要因を除去または最小化するための介入戦略を決定し、適用する。
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阻害要因・障害・ブロッカーが継続的に解消されているか定期的に再評価する。
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リスクが課題へと変化したタイミングを認識する。
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課題解決のアプローチについて関連ステークホルダーと協働する。
Task 5 – リスクを計画し管理する(Plan and manage risk)
Enablers:
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リスクを特定する。
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リスクを分析する。
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リスクを監視・統制する。
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リスクマネジメント計画を策定する。
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リスク登録簿(例:ITセキュリティの脆弱性)を維持する。
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リスクマネジメント計画を実行する(例:セキュリティリスクへの対応、サステナビリティリスクの管理)。
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リスクがプロジェクトに与える影響状況を共有する。
Task 6 – 継続的改善を推進する(Continuous improvement)
Enablers:
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学んだ教訓(Lessons Learned)を活用する。
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継続的改善プロセスが更新されていることを確実にする。
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組織のプロセス資産(OPA)を更新する。
Task 7 – 組織変革を支援する(Support organizational change)
Enablers:
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組織文化を評価する。
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組織変革がプロジェクトへ与える影響を評価し、必要な対応策を決定する。
Task 8 – 外部ビジネス環境の変化を評価する(Evaluate external business environment changes)
Enablers:
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外部ビジネス環境の変化(例:規制、テクノロジー、地政学、市場変動)を調査する。
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外部環境の変化がプロジェクトのスコープ/バックログに与える影響を評価し、優先順位を付ける。
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プロジェクトのスコープ/バックログへの影響を把握するため、外部ビジネス環境を継続的にレビューする。
本ページの更新履歴
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2025年11月14日 本ページをリリース。
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2025年11月17日 新ECOのDOMAINS(ドメイン)・TASKS(タスク)・ENABLERS(イネーブラー)を日本語化し掲載。



